先日名古屋市緑区のキクチミュージックスクールさんの発表会のお手伝いをさせていただきました。
この教室の発表会の名物の「プレシャスアンサンブル」というコーナーがあるのですが、そこでフルートを担当させていただきました。
この「プレシャスアンサンブル」と言うのは子供さんのピアノ演奏に合わせてプロの演奏家が伴奏をする、小さなピアノコンチェルトのようなもの。曲は小さい子はカエルの歌やバスティンの小さな曲、大きい子はブルグミュラーやドラマの主題歌などいろいろ。これを、これまたプロの作曲家が編曲してアンサンブルとして演奏します。
今回のメンバーはフルート、バイオリン、ヴィオラ、チェロの4人。弦楽器の方たちは素晴らしい教育を受けてみえて、中には何年もドイツにいて最近帰ってきたと言う人も。
普段邦楽の畑にいる私にとっては久しぶりのクラシックアンサンブルで少し緊張でした。
なぜ緊張するかというと、洋楽と邦楽では息の合わせ方が少し違うと言うことと、フルートと尺八ではアンサンブルの中の役割が違うことが多いという理由があります。
4歳からピアノ、中学校の吹奏楽からフルートを始めた私。オーケストラ、ブラスバンド、室内楽などアンサンブルはたくさんやってきました!
クラシックの音楽の用語?で、オーケストラの演奏会などで「乗る」「降りる」という言葉を使います。これは、その演奏会でやる曲を演奏するかどうかの意味で、例えば「今度の演奏会、ベートーヴェンの7番は乗ってる?」みたいな感じで使います。クラシックのアンサンブルはまさにこの通り、みんなで一つの船に乗り「せーの!」で漕ぐようなイメージです。
しかし、邦楽は勝手が違ったのです。
尺八をはじめて一年ほどの頃、古典の三脚合奏に憧れて、始めて同級生のお箏の子たちに合わせをお願いしました。
その時の曲は吉沢検校「秋の曲」(なぜ最初にこの曲にしたのかと今では思う)。
合奏をはじめて数小節。ずれる。
え…なんで??拍通りに吹いているはず。
何度か合わせに付き合ってもらううちに気づいたのですが、私は演奏中無意識に「1と、2と、3と、4と」という風に拍を刻んでいました。
これが邦楽の古典だと良くなかったようです。
正確にいうと、全く自分で刻まないわけではなくて一拍の長さが洋楽よりも伸び縮みするのでめちゃくちゃ空気を読まなきゃいけないようです。
「いーーーーーーちと、にとさんと、しーーーと」みたいな感じになります。
クラシックの船に比べると、邦楽の古典はちょっと離れたところで歩きながらちらちら横目でみて歩幅を合わせるイメージ。
そしてフルートとピアノ、尺八とお箏は似ている組み合わせのように思いますが、役割が逆になります!
フルートとピアノではフルートがリードしていくのですが、邦楽の場合はお箏や三味線がリード、尺八は伴奏です。私の場合、リードから伴奏に回るのはそんなに違和感がないのですが、伴奏からリードにいくのは少し馬力が必要です。
そんなこんなで緊張しつつも現場に向かいましたが、子供達や生徒さんのサポートもしつつ無事に演奏できました!
また来年に向けて頑張ります。
#名古屋 #尺八 #篠笛
服部燕山